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2024.12.04
日本人の平均寿命の推移とその背景
日本人の平均寿命は、長寿国としての地位を築いてきた日本においても重要な指標の一つです。統計的に見ると、戦後の1947年には男性50.06歳、女性53.96歳でしたが、その後急速に上昇し、2023年時点では男性81.05歳、女性87.09歳と世界トップクラスを維持しています。この劇的な向上は、医療技術の発展、生活環境の改善、健康意識の高まりなど、多くの要因によるものです。
今回は、そんな平均寿命が高まり続ける我が国の背景についてお伝えします。
【目次】
1.戦後から高度経済成長期
2.生活水準の向上と食生活の変化
3.医療技術の進歩
4.高齢化社会と新たな課題
5.今回のまとめ
戦後から高度経済成長期
戦後の復興期、日本の医療体制は急速に整備され、伝染病や感染症の抑制が大きく進みました。結核や赤痢など、かつて多くの命を奪った感染症に対する予防接種が普及し、公衆衛生の向上も進みました。また、国民皆保険制度の導入(1961年)は、誰もが安価で医療を受けられる環境を作り、平均寿命を押し上げる大きな要因となりました。
生活水準の向上と食生活の変化
1950年代から70年代にかけての高度経済成長期は、生活水準が飛躍的に向上した時期でもあります。栄養不足が解消され、肉や乳製品、魚、野菜など多様な食材を取り入れた食生活が広がりました。「和食」はバランスが良いことで知られ、心血管疾患や肥満のリスクを低減する一因とされています。
さらに、日本の文化も長寿に寄与しています。人々のつながりを大切にする習慣やストレス管理、適度な運動を促進する地域コミュニティの存在などが精神的な健康を支えています。また、お茶や発酵食品のような伝統的な食品は、健康増進に役立つ栄養素を多く含んでいます。
医療技術の進歩
1980年代以降、医療技術の進歩が寿命延長にさらに貢献しました。心臓病や脳卒中に対する治療が大幅に改善され、がん治療においても早期発見・早期治療が普及しました。また、高齢者に多い慢性疾患(糖尿病や高血圧など)への管理が徹底され、寿命の延長だけでなく「健康寿命」の改善にもつながっています。
高齢化社会と新たな課題
一方で、平均寿命の延長は日本を世界有数の高齢化社会に変えました。これは社会保障費や医療費の増大、介護の必要性の増加など、多くの課題を伴います。特に高齢者の「健康寿命」と実際の寿命の差を縮めることが重要視され、リハビリや介護予防プログラム、地域医療の充実などの取り組みが進められています。
生命保険業界においても、医療給付金の支払増や少子高齢化による収支構造の変化など、平均寿命の伸びと出生数の減少に伴う対応が求められています。
今回のまとめ
日本人の平均寿命の向上は、医療、経済、文化、政策が一体となった成果です。こうした新たな長寿社会において、健康寿命の延伸や社会の持続可能性を確保するための取り組みがますます重要になります。この背景を理解し、保険業界においても次世代に向けた新しい社会モデルを構築することが求められています。