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2024.12.01
日本の死亡者数の推移と少子高齢化について
極東の小さな島国である日本ですが、その規模では計り知れないほどの経済と人口を誇っています。そんな特殊な環境にある日本において、少子高齢化が大きな問題となっています。
今回は、そんな日本で保険業界に身を置く立場として知っておくべき、日本の死亡者数の推移と少子高齢化についてお伝えします。
【目次】
1.日本の死亡者数の推移
2.少子高齢化の進行
3.少子高齢化が日本社会に与える影響
4.日本社会の対応と未来
5.今回のまとめ
日本の死亡者数の推移
日本の死亡者数は戦後から一貫して増加傾向にありますが、この背景には人口構造の変化が大きく影響しています。1947年から1949年の「第一次ベビーブーム」によって、約800万人もの人口が増加しましたが、この世代が高齢化した結果、21世紀に入ってからは死亡者数が増加しています。さらに、1971年から1974年の「第二次ベビーブーム」世代も今後高齢化が進むため、死亡者数の増加が今後も続くと予想されています。
具体的な数値を見ると、2010年には日本の死亡者数が年間約119万人でしたが、2019年には約138万人、2021年には約145万人に増加しています。高齢者人口が増加することで、今後さらに死亡者数は増加し、2040年頃には年間170万人に達すると見込まれており、こうした人口動態の変化は日本の社会や経済に多大な影響を与えています。
少子高齢化の進行
少子高齢化は、出生率の低下と平均寿命の延びによって生じる社会現象です。日本では1970年代以降、出生率が低下し続けており、1970年には合計特殊出生率(女性が一生に産む子供の平均数)が2.13でしたが、2021年には1.3前後にまで低下しています。この低い出生率は、日本の人口を減少させる要因となっています。
一方で、医療技術の進歩や生活環境の改善により、日本人の平均寿命は延びています。2021年には男性が約81歳、女性が約87歳という世界でも高い水準に達しています。これにより、総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は増加し続けており、2025年には65歳以上の人口が全人口の約30%、2040年には約35%に達すると予測されています。
少子高齢化が日本社会に与える影響
少子高齢化が進むことで、日本社会にはさまざまな課題が生じています。まず、少子化によって働き手が減少し、経済成長に必要な生産力が低下する懸念があります。若い世代の人口が少ないため、企業は人手不足に直面し、特に介護や医療など高齢者支援に関する分野では深刻な人手不足が続いています。これに対応するため、外国人労働者の受け入れや、AI・ロボットの活用による労働力補完が進められています。
さらに、社会保障費の増大も大きな問題となっており、高齢者が増加するにつれて年金や医療費などの社会保障費用が増加し、現役世代の負担が大きくなっています。2021年度には社会保障費が約35兆円に達しており、今後も増加が予想されるため財源の確保が重要な課題です。政府は年金制度の見直しや、医療費の自己負担割合の増加などを進めていますが、持続可能な社会保障制度の構築が急務とされています。
日本社会の対応と未来
少子高齢化に対応するため、政府や自治体、企業などはさまざまな対策を講じています。たとえば、子育て支援政策として、保育施設の整備、育児休業制度の充実、出産・育児に関する経済的支援が進められていたり、労働力の確保のために女性や高齢者の労働参加を促進する政策も進行中です。
また、地域社会では、地方への移住を促進する取り組みが行われ、過疎化が進む地方への若い世代の移住が奨励されています。デジタル技術を活用して、地方でのリモートワークが可能となり、地方創生に貢献しています。
さらに、医療や介護の分野では、ICT(情報通信技術)やAIを活用して効率化を図る試みも進んでいます。特に、地域包括ケアシステムの導入により、地域での医療・介護の連携が強化され、高齢者が安心して暮らせる環境が整えられています。
今回のまとめ
日本の少子高齢化と死亡者数の増加は、避けがたい現実です。しかし、さまざまな取り組みを通じて、その影響を緩和し、持続可能な社会の実現に向けた努力が続いています。今後も日本が人口減少に立ち向かうために、イノベーションと協力が鍵となるでしょう。