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2024.12.01
生命保険会社が予定利率を引き上げるとどうなるか
生命保険会社が予定利率を引き上げると、消費者や保険会社、そして経済全体にさまざまな影響をもたらします。予定利率とは、保険契約者に対して約束される運用利回りのことで、保険料の計算に重要な役割を果たします。引き上げが行われる背景には、金利環境の変化や運用収益の向上が関係しています。以下、その影響について詳しく見ていきます。
【目次】
1.住友生命が予定利率を50年ぶりに引き上げ
2.生命保険会社が予定利率を引き上げる背景
3.利率引き上げのリスク
4.今回のまとめ
住友生命が予定利率を50年ぶりに引き上げ
2025年4月から、住友生命保険は2年分以上の保険料をまとめて納める場合の利回りを0.06%から0.30%に引き上げることを発表しました。昨年も個人年金保険で一部契約の予定利率を38年ぶりに引き上げましたが、積み立て部分の利回りを引き上げるのは約50年ぶりのことです。
こうした動きはその他の保険会社にも波及すると見られ、12月の日銀会合の結果を踏まえて更なる動きが注目されます。
生命保険会社が予定利率を引き上げる背景
予定利率を引き上げることで、消費者にとってはシンプルに保険料が安くなるメリットがありますが、保険会社にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。
今年から、日銀の政策金利引き上げに伴い国債等の運用利回りが上昇しました。運用利回りが高まると、生命保険会社がお客様から預かっている保険料の運用益が増え、保険料を割り引いても、保険会社はまとまった資金を調達して資産運用する方が利益を見込めるようになります。
また、保険料を割引できるということは、それだけ営業面での優位性が増し、新規契約の獲得件数が増加します。特に変額性の商品の場合は、さらにお客様にとってのお得感が高まるため、加入者の増加を見込むことができます。
利率引き上げのリスク
予定利率の引き上げは保険会社にとってもお客様にとってもメリットがありそうですが、必ずしもそうではありません。金融市場全体で利率引き上げが加熱し、行き過ぎると他の金融商品との競争が激化し、保険業界全体の収益率が圧迫されるリスクも存在します。
また、予定利率を引き上げることは、運用収益の増加が見込める金利環境下では合理的ですが、金利が再び低下した場合、会社の財務的負担が増大するリスクがあります。これは、引き上げた利率を維持するために、高リスクな運用やコスト削減が求められることに繋がるためです。そのため、予定利率の変更は慎重な市場予測と運用戦略を伴う必要があります。
今回のまとめ
今回の住友生命のニュースに続いて、各保険会社も同じような対応を取ることが予想されます。政策金利の引き上げはこのようなメリットがある一方で、デフレの加速を生む可能性があり、業界だけでなく経済全体に注意を払う必要がありそうです。