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2024.10.18
保険営業以外の副業を目的に保険代理店転職を考えている方がすべき5つの自問自答
保険営業の方のキャリア相談・保険代理店転職相談をさせてもらって4年目になりましたが、当初から変わらず一定数相談の内容としてあるのが「副業」です。保険営業をしながら結婚相談所の仕事がしたい。保険営業をしながら中古車自動車の販売をしたい。中には未だにネットワークビジネスの話しがあがってくることも過去に1度ございました。そういったニーズをベースに「副業ができる保険代理店を教えて下さい」と問われます。弊社もそういったお話があったときに、御用聞きとして言われたとおり「ここの代理店でしたら副業できますよ」とご紹介することは難しくありません。副業が禁止している代理店も増えてきていますが、今でも認められているところは少なく有りません。でも、安易に副業をはじめて全てにおいて中途半端になる保険営業の方を目にしてきているからこそ、「その副業は本当にしなければならないんですか?」ということをそもそもとして問うてきているのです。自分のやりたいようにできるという側面もある保険営業という個人事業主の仕事。とやかく言われることは耳障りかもしれません。でも伝えなければいけないことではないかと考えて執筆させてもらいます。先にお伝えしておきます。ここで私が述べたいのは副業を絶対にすべきではないということではありません。その副業は本当にすべきなのか慎重に考えてスタートをすべきということが言いたいのです。ではどうやって慎重に考えたらよいのか、その観点をチェックすべきご自身への問いかけとして見ていただけますと。なにを隠そう、私も保険営業をしていたときに副業をして回り回って保険営業に戻ってきた人間であります。同じような無駄な時間やお金をかけて後悔する保険募集人さん、、きっとその先にいるお客さま、ご家族も少なからず影響を受けることになると思いますので。そういった人たちが減ったらいいなと思って綴らせていただきます。
1.前提:そもそも「副業をはじめる」とは「新規事業をはじめる」こと
2.副業を始める前の5つの問いかけ、自問自答
-1.ビジネスの抑えるべきポイント3つを満たしているか?
-2.保険営業で稼いでいても本当にそれをやるか?-3.ではなぜ保険営業をやめてそれに専念しないのか?
-4.お客さまから見て副業をやっていることに違和感はないか?
-5.副業を「やる!」と啖呵を切ったから断れないという理由ではないか?3.副業で成功している保険営業の方の成功要素2つと絶対的共通点
-1.成功要素1:保険営業としてのマーケティング・サービスと一貫している
-2.成功要素2:保険営業での顧客リストや強みを活かしている
-3.成功者の共通事項:保険営業として成功者といえる
前提:そもそも「副業をはじめる」というのは「新規事業をはじめる」ということ
とても当たり前のことですが、保険営業をメイン事業とする中で副業を始めるということは新規事業を始めるということです。これを一般的な会社で考えるとするとどれだけ大きいことか。保険会社でいいますとSOMPOホールディングスが介護・ヘルスケア事業を始められています。損害保険会社が介護事業を?と新聞やメディアでも取り上げられていたのは記憶に新しいですが、それくらいのレベル感のものです。そこにはありとあらゆる意向や背景、プロセスがあり新規事業の展開に至っていることは想像に容易いかと思います。ここまでとは言わないにしても個人事業主である保険営業の皆様は経営者として適切な意思決定プロセスによって副業という新規事業の展開を考えていらっしゃいますでしょうか。新規事業を展開をするということは、本来メイン事業に割くことができる経営資源(=労力、お金、時間)をあえてメイン事業に投下せずに、サブ事業に投下するということです。保険営業を始めるときに「やらないことを決める」や「選択と集中」といった言葉はよく耳にするかと思いますが、その本質を理解してやりきったうえで、その副業は「やること」となりましたでしょうか?「集中すべき最適な選択」であるのでしょうか。
副業を始める前にしていただきたい5つの問いかけ
上記のように厳しいことばかりいっても一度やりたい、またはやるべきだと自分で感じて進めているものではないかと思います。どうやって改めてそれを吟味するのか、ここで自問自答すべき問いかけを用意させていただきましたのでそちらを使っていただけると参考になるのではないかと思います。
問いかけ1:ビジネスの抑えるべきポイント3つを満たしているか?
保険営業や副業に限らず、起業をする際のポイントとしてベタではありますが「得意・好き・需要」の3つの観点があります。この3つについて考えずに副業を始めようという方はいらっしゃらないかと思いますが、3つめの需要=ニーズについて「主観」で判断している人も多いのではないかと思います。ニーズがなければ、観客が全く入っていないスタジアムで一生懸命にサッカーや陸上競技をするようなもの。求められているものでなければ、それはただの趣味になってしまいます。通常、企業が新規事業を始める際はニーズを確認するためには徹底したマーケット調査、競合調査をおこなったうえで意思決定を行います。金銭的に余裕のある大企業ですらお客さまから大量のアンケートを集めてニーズを明確に確認したうえで始めます。それであったとしても失敗する場合もあるのです。ビジネスにおいて主観で未知の世界を切り開いていくことも大切かもしれませんが、客観的な視点を持たなければ経済社会においてマストである「お金」という循環は生まれないのではないでしょうか。
問いかけ2:保険営業で稼いでいても本当にそれをやるか?
「保険営業で年収3,600万円を稼いでいるいるけれども副業をしていない自分」と「保険営業で年収300万稼ぎながら副業でも年収300万を稼いでいる自分」どちらを選びますか?副業で年収300万といっても月収にすると月20万以上。それなりに稼いでいるといってもいいのではないでしょうか。それでも相当な努力は要するものではないかと思います。ただ恐らく後者のパターンはどちらも忙しいことが前提になっているのではないかと思います。
問いかけ3:ではなぜ保険営業をやめてそれに専念しないのか?
ここまでの問いかけをクリアしてもなお副業をやっていきたいという方。ではなぜそこまでやりたい副業を本業としないのか。言い換えると保険営業を辞めてその事業に専念しないのか。もったいないから。せっかくこれまでやってきたから。その理由は完全に自分自身のためだけの目線ではないでしょうか。果たしてその理由だけで事業全体は好循環へと向かうのでしょうか。
問いかけ4:お客さまから見ても本当に誇って言えるか?
客観的な視点としてとても大切なのは保険営業のお客さまの視点です。私も税理士やマーケティングの専門家としての意見を参考にしたく、顧問をお願いすることがあります。過去にその顧問の方々が、あたらしくコールセンター事業を始めることにしました。また、YouTubeコンサルを始めることにしました。ということを話してきたことがありました。特に私に営業をかけてくるわけでもなかったので何かストレスに感じるようなことはありませんでしたが、私がパッと浮かんだのは「自分の会社の財務はちゃんと見てくれているのかな?」「自分の会社のマーケティングはちゃんと見てくれているのかな?」という不安でした。もちろん人によっては「相変わらずアクティブだね!応援しているよ!」という反応もあるかもしれません。それでも、財務やマーケティングの専門領域が高いためにアウトソージングをしている私からすれば、何かを片手間にやりながらプロとしての仕事ができるのかな?と疑問に思ってしまうのです。これは保険のプロとしての仕事を求められるお客さまにとっても同じではないでしょうか。そしてもうひとつお伝えしておくと、私が感じた疑問は、その税理士やマーケティング顧問の方には問いかけることはしませんでした。きっと違和感を感じたお客さまは知らず知らずのうちに離れていくのではないでしょうか。なお、しばらくして、顧問の方々から、それらの事業はやめました、という報告をいただいております。
問いかけ5:副業を「やる!」と啖呵を切ったから断れないという理由ではないか?
そもそも自分の中でやるべきではないビジネスであるとわかっているのに、恥ずかしいから、プライドがあるからといってやめるという意思決定ができず、損切りをできずにズルズルとそのビジネスを進めてしまうのは経営者として適切ではないのではないでしょうか。会社経営者がその事業が赤字垂れ流し、根拠のないままにいつかうまくいくかもしれないと続けていることで社員や株主、ステークホルダーに迷惑をかけてしまう。そんな経営者はどう思いますでしょうか。個人事業主の方でいえば、それは自分の大切な人や家族、お客さまに迷惑をかけることに繋がります。
副業で成功している要素2つと絶対的共通点
ここまで副業に対してネガティブな話をしてきましたが、たくさんの保険募集人さんと関わらせていただいていると、副業でもしっかり実績を残し、お客さまに喜んでもらっているケースも見てきましたので。そちらの観点も参考にしていただければと思います。
成功パターン1:保険営業としてのマーケティング・サービスと一貫していること
私が見ている中で、うまく副業を生かされているなと感じたのは、保険営業という事業価値をより高めるための副業です。例えば、マーケティングであればセミナー営業。あえてフロントセミナーを有料化することによって真剣にお客さまが聞いてくださる。それがお客さまのリテラシーを高め、個別相談での金融商品のご提案内容が濃いものになる。無料であると品質が落ちることもあります。個別相談を有料化している方も同様です。また、保険という金融商材に加えて、証券分野、不動産分野も加えた幅広いニーズにきめ細やかに応えていくサービス展開も近いのではないかと思います。そこには保険営業という仕事からFP業としてやっていきたいというお客さまへの想いや意志から派生した形態なのではないでしょうか。
成功パターン2:顧客リストや強みを活かしていること
他には、介護事業者に特化した保険営業の方が、新たに介護事業者向けの経営コンサルティングを展開したり。個人事業主を顧客にしている保険営業の方がマーケティングレターの講座を行うなどのパターンです。これらは、保険営業で培ったマーケティングなど専門的な知識をそこで築かれたお客さまの母集団に対してサービスとして提供していくものです。この特化した「顧客リスト」や「強み」を活かしていくことはさらなる顧客満足度につながったり、本質的に保険営業のサービス価値と親和性があるのではないかと思います。
成功パターンの共通点:保険営業として客観的に成功していると言える人であること。
最後に、副業でうまく言っている方の絶対的な共通点は、保険営業で成功者である、と同業者からいわれる実績を残しているということです。私のイメージではMDRTの方ですと、逆に副業をしたいなどという迷いはなく、どうやってそこからCOT・TOTを目指していこうかという目線になっていると思います。MDRTにも到達していない方ほど、副業にブレている傾向があるように感じます。保険営業をやりきっている=実績を残している方は、単に持って生まれた優れた営業能力を有しているからというものではないと思います。成功されている方々は、はじめてお客さまにお会いする顧客接点から成約までにとどまらず、成約後のCRM(Customer Relationship Management=「顧客関係管理」または「顧客関係性マネジメント」)まで全てのプロセスにおいて一貫してビジネスを磨き、構築しきったからこそ、優れた営業成績を残せていると考えます。そして、そのフレーミングや考え方、マインドまでを活かして、副業という新たな事業においても、実績をあげられているのではないかと考えます。ちなみに私自身COTの実績を残したこともありませんし、COTをやらなければ副業はやってはいけないということではありません。それくらいのレベル感でビジネスを考え抜いて。副業に取り組もうとされているのかということを考えてしまうのです。そして私が保険営業専門人材紹介事業をはじめるときは、13年続けてきた保険営業の資格を廃業してスタートさせました。私は当時所属していた保険代理店からは副業でやっていけばいいではないかと提案されましたが、2足のわらじをするほど器用な人間ではないという単純な考えで、まだ継続手数料も十分に残っている中ではありましたが保険営業を廃業することを決めました。後々どこの馬の骨ともわからない若造が、上場企業の役員クラスの方まで真剣に話しを聞いていただけるようになったのは、その決断があってのことだと考えています。
「やめる」という決断はポジティブな意思決定である
ここまで読んでくださった方はおそらく、副業を本当にやるべきかどうかで悩んだ方なのではないかと思います。最後にお伝えしたいことは、「やめる」と決めることはとてもポジティブなことであるということです。なぜなら、やめるということは、そのことで生まれる「お金や時間、労力」を本当に大切なことに費やすこと、本当に大切なことにエネルギーを注ぐという意思決定そのものであるからです。人生という時間は本当に有限です。その人生を有意義なものにするためには自分にとって本当に大切なものとはなんなんだろうか。それに気づけたということはとてもポジティブなことではないでしょうか。