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2024.10.09
坂本龍馬が作った海援隊約規と現代の保険の関係について
今の時代とは異なり、コミュニ―ケーションツールといえば手紙しかなかった時代に、日本中を駆け回り、新しい日本が生まれるきっかけを作った坂本龍馬に魅力を感じる人は多いでしょう。その龍馬が1867年に設立した「海援隊」は日本の近代化を目指す志士たちによる商業的・政治的な活動を支援する組織でした。この海援隊の運営方針の中で、特に注目されるのが「海援隊約規」と呼ばれる規則です。この約規は、隊員が活動中に遭遇するリスクに備えるためのもので、現代の保険制度の原型とされる要素が含まれていました。
今回は、そんな近代保険のルーツとも言える海援隊約規についてお伝えします。
貿易や輸送のリスクを軽減する海援隊約規
当時、商業活動には多くの危険が伴い、特に海上交易や物資の輸送では、船舶の沈没や事故、隊員の死傷といったリスクが常に存在していました。坂本龍馬は、こうしたリスクを個人で負うのではなく隊全体で分担し、互いに支え合う仕組みを作ることを考えました。そこで生まれたのが、隊員同士が事故や死亡に遭遇した際、その家族に対して支援金を支給するという「海援隊約規」です。
現代の保険制度との共通点
この仕組みは、現代の保険制度と共通する重要な概念を持っています。現代の保険は、加入者が保険料を出し合い、誰かが事故や災害にあった際にその資金を使って保障(補償)するという仕組みです。海援隊約規も、隊員一人一人がリスクを共有し、事故や不幸があった場合には共同で支援するという形でリスクを分散していました。
また、現代の生命保険や損害保険のように、個人では負いきれないような大規模な経済的損失を補填する役割も、この約規には見られます。海援隊の隊員が死亡した場合、その家族が経済的に困窮しないように支援金が支給される仕組みは、現代の生命保険の基本的な考え方に通じています。これは、個人の不幸が周囲の助けによって軽減されるという、相互扶助の精神を反映しています。
ただし、海援隊約規は現在のような保険会社や契約書を通じた制度的な枠組みではなく、あくまで隊内のルールに基づくものでした。それでも、龍馬が構想したこの仕組みは、リスクを仲間内で分担し合うというアイデアの先駆けとして、日本の保険制度の発展に影響を与えたと考えられています。
今回のまとめ
坂本龍馬は、日本の政治や商業に大きな影響を与えた人物として知られていますが、この「海援隊約規」を通じて、経済活動におけるリスク管理の重要性をも示したと言えます。彼が創設した海援隊の保険的な取り組みは、後の時代における日本の保険業界の基礎となり、現代の多様な保険商品の誕生にまで影響を及ぼしたと言えるでしょう。
このように、坂本龍馬が提唱した海援隊約規は、単なる歴史的事象にとどまらず、日本の保険制度の源流としても評価されるべき重要な取り組みだったのです。